
第19回B&G『小年の船』Bグループ1996.7.28から8.5
ご挨拶
財団法人ブルーシー・アンド・グリーランド財団 会長苫米地行三

この海外体験航海事業の目的は、全国の中・高校生を対象に洋上研修や寄港地であるグアム・サイパンでの様々な活動を通じて、海に対する理解を深めてもらい、また、生活を共にすることで団員相互の友好を築くなど、日本の将来を担う少年。少女たちに貴重な体験をしていただくことにあります。
船は一つの孤立した社会であり、“運命共同体”と言われるように、乗組員一人一人がお互いに協力し合いながら、自分の役割を遂行することによって初めて動くものであり、一人一人が勝手な行動をすれば動かなくなるばかりか、乗船者全員の命にも関わることとなり、正に“運命”を“共にする乗り物”であるといえます。
このように、船という限られた生活空間の中では連帯と協調の精神、助け合いの精神がいかに大切なことであるかを、この航海を通じて皆さんに実際に体験していただいたわけで、皆さんは大変貴重な経験をされたことになります。
また、寄港地であろグアム・サイパンでは、日本とは違った気候や風土、歴史、文化などを肌で感じ、さらに日本とグアムの青少年たちがレクリエーションやゲームを通じて直接交流を図るなど、皆さんにとっては普段なかなか体験できない、大変良い経験になったのではないでしようか。
第19回目の今回は、A・Bグループ合わせて25人の在日インターナショナルスクールの生徒も参加、初めはお互いに名も知らぬ者同士であった日本の団員たちとも、約1週間にわたる生活を共にするうちにすっかりうち解け合い、友情の輪も大きく広がったようです。
本年7月20日が初めて国民の祝日「海の日」となり、また、海洋環境保全が全人類・全地球規模の課題となっている今日、この体験航海事業を通じて一人でも多くの少年少女たちが、海を知り、そして海を守って行くことの大切さを理解していただければと願っております。
最後に、第19回B&G『少年の船』を無事終了することができましたのも、ひとえに運輸省、外務省、総務庁、大蔵省、東京税関並びに日本財団など、多くの関係者の皆様方のご支援ご協力の賜物と厚くお礼申し上げます。
第19回B&G『少年の船』Bグループ団長 森田浩二

『少年の船』参加者の皆さん!人生の中で最も多感な年代にこの体験航海に参加していろいろな貴重な経験を積まれましたことは、きっとこれからの皆さんの人生を豊かにすると思います。どうか、一生の思い出としていつまでも心にとどめて置いてください。
寄港地グアム・サイパンでは残念ながらあまり天候に恵まれませんでしたが、グアムの少年・少女との“交流会”、また“日・グアム交歓会”では、両国の青少年約800人が一堂に会して、交歓パーティーや芸能交歓会を行い、国境を超えた両国の友好を深めることができました。
特にBグループでは、在日インターナショナルスクールの生徒12名も『少年の船』に参加、日本の団員と寝起きを共にしながら様々な研修を体験するなど、これまで以上に国を超えた友情の職を広げることもできました。
サイパンを出航後、日本に向け1400マイルの航海に出ましたが、船内生活では規律や規則を守ること、お互いに協力し合うことを特に皆さんにお願い致しました。それは「規律を守りながら、思いやりやいたわりの心を持ち、互いに助け合うこと」が、これから皆さんが社会生活を営んで行く上での大切なルール、マナーであることを分かっていただきたかったからです。
そして、最後に600人握手で流した涙も忘れないでください。短い期間ではありましたが、船酔いで苦しんだこと、嬉しかったこと、悲しかったことなど、リーダーを中心に兄と弟、姉と妹、まるで他人とは思えない人のぬくもり、思いやり、励ましが皆さんの心の中に思い出され、それが熱い感動の源となったことを。
皆さんは、これから高校や大学、あるいは社会人としてそれぞれが別々の人生を歩むことになると思いますが、このB&G『少年の船』で培った友情とあの苦しい船酔いを経験し克服したエネルギーを、旨さんの人生の機としてこれからもずーっと持ち続けていっていただきたいと思います。
最後に、この体験航海事業が成功裡に終了することができましたのも、関係者のご支援ご協力の賜物とここに厚くお礼申し上げます。
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